RIKUO & PIANO 2 - リクオ Official

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リアル / リクオ

この奇妙な世界で生きてゆく12編

「途切れちゃいなかった すべては繋がっていた」 ローリング・ピアノマン・リクオ、パンデミックを経て、混沌の世界で放つニューアルバム。 リクオとライブ活動を共にしてきたHOBO HOUSE BANDの面々が全面参加。アルバムタイトルナンバー「リアル」、パンデミックの最中に生まれたラブ・ソング「ハグ & キス」、中村佳穂との共作「流れ星」(コーラスで中村佳穂がRec.参加)等収録。

Hello Records(HR-010) 定価3,000円(税込価格3,300円)
2024年6月5日(水)一般発売(同日配信開始)
■リクオ・オンラインショップ「Hello Records shop(BASE)」にて注文受付中 https://rikuoshop.thebase.in/

【収録曲&参加ミュージシャン】

1、リアル 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
森 俊之:Organ

2、Wadachi 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND & 森 俊之 リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
森 俊之:Organ
真城めぐみ:Chorus

3、ハグ & キス 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar,A. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
真城めぐみ:Chorus

4、友達でなくても 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar,A. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar

5、君と僕とセカイの間 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
真城めぐみ:Chorus

6、酔いどれ賛歌 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar,A. Guitar,Chorus
寺岡信芳:E. Bass,Chorus
小宮山純平:Drums,Chorus
宮下広輔:Pedal Steel Guitar,Chorus
真城めぐみ:Chorus

7、流れ星 作詞、作曲:リクオ&中村佳穂 / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
中村佳穂:Chorus
高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar

8、アンサンブル 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano 高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums,shaker
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
真城めぐみ:Chorus

9、ミュージック・アワー 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
真城めぐみ:Chorus

10、僕らのライブハウス 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
真城めぐみ:Chorus

11、君を想うとき 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ with HOBO HOUSE BAND リクオ:Vocal, A. Piano
高木克:E. Guitar
寺岡信芳:E. Bass
小宮山純平:Drums,Tambourine
宮下広輔:Pedal Steel Guitar
真城めぐみ:Chorus

12、こぼれ落ちてゆくもの 作詞、作曲:リクオ / 編曲:リクオ
リクオ:Vocal, A. Piano
橋本歩:Cello

Recording & Mastering Engineer / Sound Making / Vocal Direcsion:笹倉慎介
Sound Produced by リクオ
Recording & Mastering Studio at 土の上を歩く
Art Directions,Design & Photograph : Masashi Koyama
Photograph Assistant : Takuya
Coordination : Kaori Ise

[ アルバム解説 ]

再生と希望、夢と愛と他者への思いやりをバンドサウンドで色彩豊かに表現したリクオのニューアルバム『リアル』
ライブ感のあるスタジオアルバム
リクオのニューアルバム『リアル』。まず初めに書いておきたいのは、これは2019年作品 『グラデーション・ワールド』以来5年ぶりに発表されるバンド・アルバムであるということ。全12曲中、最後の「こぼれ落ちてゆくもの」を除いた11曲が、リクオwith HOBO HOUSE BANDでレコーディングされたものであるということだ。

現在のHOBO HOUSE BANDのメンバーは、高木克(エレクトリックギター)、寺岡信芳(エレクトリックベース)、小宮山純平(ドラムス)、宮下広輔(ペダルスティールギター)、真城めぐみ(コーラス)。ギターの高木が加入したのが2018年であり、本作はそれ以降のライブでこのメンバーによって演奏されてきた曲をスタジオ・レコーディングしたものとなっている。リクオのライブをよく観に行っているファンなら、“大好きなこの曲がバンドでスタジオ録音されて嬉しい!”という思いを抱いたりもすることだろう。そういう意味ではこの5~6年の集大成なんていうふうにも言えるかもしれないが、その言葉の持つ重みに対して、印象はむしろフレッシュ。実に生き生きとした音が鳴っている。熱さや生々しさがある。が、そればかりではないのが大人のバンドたる所以。音の鳴って いない部分から音楽が感じられる。ガツンと行くだけでなく、余白を活かした演奏にバンドの成熟を感じる。リクオ自身、ここでのアレンジに関して「バンドが一体となって勢いよくもっていく」ことと「余白を作る」こと、その両方を心掛けたと言う。

ライブにおいての形からアレンジを大きく変えて録音された曲はない。「このメンバーならではの一回性の相互作用に満ちた生々しい演奏を録音したい、『グラデーション・ワールド』以上にライブ感をパッケージしたいと思っていた」。そう話すリクオの思いの通り、ライブにおけるダイナミズムが音源に反映されている。それは決して容易なことではない。過去、日本のロックの歴史のなかで、ライブの熱をスタジオアルバムに反映させることができないまま解散したバンドがいくつもあった。そのこともわかっているリクオは、だから“ライブ感のあるスタジオアルバム”にするべく十分な手間をかけた。「最高の演奏を録れたという実感はあった。でも、それをそのまま出せばいいってものでもないんです。いい演奏に加え、ミックスによってライブ感を再現する。それは再構築の作業でもあるわけで、今回は慎ちゃん(レコーディング&マスタリング・エンジニアの笹倉慎介)とふたりで、しっかり時間をかけてそれをやりました」。

それにより、まさしくリクオwith HOBO HOUSE BANDのライブで体感するあのグルーブをここでも感じることができる。バンドメンバーたちと呼吸を合わせ、リクオは“ローリングピアノマン”の呼び名に相応しいプレイで音楽の楽しさ、自由さ、幸福感を伝えている。ロックピアニストならではのフレーズを随所に散りばめ、時にパーカッシブに、時に叙情的にと、非常に幅のある表現を見せているのだ。「Eストリート・バンドのロイ・ビダン的な役割を果たすことができたんじゃないかと思っています」とリクオ自身も言う。加えて、声の響かせ方、感情の乗せ方に、シンガーとしての進化を感じ取ることもできる。「バンドのグルーブに身を委ねながら、エモーショナルかつしなやかに、響きと奥行きを意識して歌うことを心掛けた」と言うように、楽曲の持つ景色もそれによって広がりを見せる。「特に“リアル”は高揚感の伝わるバンドマジックが生まれた名演であり、自分のキャリアのなかでもベストと言っていいくらいにエモーショナルな歌唱を残せたと自負しているんです」。

不確かな世界においての確かなこと
「歌にする理由のある歌を聴いた」。これはリクオが『グラデーション・ワールド』をリリースする際、佐野元春が寄せたコメントのなかの1行だ。「歌にする理由のある歌」。アルバム『リアル』に収録されているのも、まさしくそうした曲。リクオはなぜそれを歌いたかったのか。歌わねばならなかったのか。バンドと共に演奏して音源にしなくてはならなかったのか。全ての曲にその理由がある。

リクオはいつもこの社会と向き合っている。いま社会で起きていることに目を向け、考え、探り、そして早急に答えを出そうとはせず、自問もした上で、そのことについての思いなり考えなりを言葉にしたり歌にしたりする。感じたことを反射的に歌にはしない。反射的、衝動的に言葉や歌にすることが強度に繋がる音楽もある。例えばラップミュージック。パンクロックもそうかもしれない。リクオの表現はそれとは異なる。言葉を探り、熟考し、煮詰めた上でメロディと合わせ、歌へと落とし込んでいく。それでも断定は避け、疑問は疑問として投げかける。複雑なことを複雑に伝えない。が、単純化することもよしとしない。社会は複雑で、向き合い方の難しいことばかりだけれど、それでも時間をかけて向き合うことで少しずつまとまり始めた考えを、次に平易な言葉と滑らかなメロディに落とし込む。言葉にも音にも刺々しさはない。一方的な押し付けをしない。メロディもそうだが、あるのは他者への思いやり。聴くものの想像力に対する信頼。そうしてリクオの歌は「僕の」歌、「君と僕」の歌、何より「僕ら」の歌になる。それをリクオは歌詞カードやテロップを見なくとも何を歌っているかが理解できる声の響かせ方で歌うのだ。だから普遍性も獲得する。それがリクオのロックミュージックだ。ポップであることを含んだ上で、やはり『リアル』はロック・アルバムなのだと言える。

“再生”と“希望”の歌をリクオは長く歌ってきた。被災からの再生を歌に託したこともあったし、約2年半前のソロ作『RIKUO&PIANO2』ではコロナ禍からのそれを歌に込めた。『グラデーション・ワールド』では分断された社会、寛容性のますます失われた世界を見ながら、それでも“希望”を歌い、今作『リアル』の数曲にもそれは引き継がれている。ただ、リクオはこうも言う。「再生と希望の思いを単純な物語におさめてしまってはいけないという危機感のようなものも自分のなかにあって、パンデミック以降、その思いが一層強くなっている。状況を多面的かつ重層的に捉える知性と勇気が必要とされる時代だなって思うんです。いろいろと不安な状況なので、手っ取り早い答えにすがりつきたくなる気持ちは誰にでもあるだろうし、僕のなかにもある。でもそこに流されないようにしなきゃなって思いがすごくあって、それが今回のアルバムの歌に反映されているんじゃないかなと」

表題曲である上にオープナーでもある「リアル」。それに続く「Wadachi」。この2曲にはとりわけそうしたリクオの今の思いが反映されている。
「謎を解き明かす時間がほしいのさ 何が起きたの」(「リアル」)
「ジレンマ 焦んな ためを効かせろ からまっても こりかたまんな」(「Wadachi」)

「リアル」では「この奇妙な世界で まともでいようよ」とも歌われる。じゃあ、まともでいるためにはどうすればいいのか。その“答え”ではないかもしれないが、それに対する自身の覚悟、あるいは決意のようなものはしっかりと表明する。リクオはこう歌うのだ。
「僕の見た夢 重ねあわせよう」「僕は歌うよ」(「リアル」)
「アジャストしながら抗い続け 魂は転がり続ける」(「Wadachi」)
あるいは別の曲のこのフレーズもそうだ。
「何者でもないまま ありのままを超えてゆく」(「君と僕とセカイの間」)

この奇妙な世界、不確かなものばかりの世界のなかで、そのことを踏まえながら、それでも確かなもの、揺るがないものをリクオは歌う。例えばその最たるものが、音楽に対しての強い信頼だ。「Wadachi」で「時を超えたシンフォニー メロディが虹を架ける」と歌うリクオは、さらにアルバムの後半で音楽の幸福や効能、それへの信頼を歌った曲を並べ、繋ぎ合わせている。別々の人間同士が(自分のまま)ひとつのアンサンブルを奏でるその瞬間の愛おしさを歌った「アンサンブル」、自由を取り戻すための時間と場所について歌う「ミュージック・アワー」、そこが自分の生きるかけがえのない場所であることを改めて歌う「僕らのライブハウス」、街から音楽の響きが消えたコロナ禍に再び音楽が溢れ出す喜びを想って書かれた「君を想うとき」。リクオは言う。「自分が演奏活動を通じて身に着けてきた思想だったり理想だったり哲学だったりが、それらの曲に反映されていると思います」「ひとつのグルーブをみんなで共有していることを前提とし、でも思いが有り余ってそこからはみ出していく人がいても、それによってまた新しい化学反応が起こるのだということをちゃんと踏まえていたい。違いや不器用、衝動を受け入れてお互いに化学反応を起こしていく、その様自体が僕は希望だと思うし、それが僕の好きなロックやブルースのよさでもあるから」

「友達でなくても」と「君を想うとき」の2曲は、『RIKUO&PIANO2』(2021年)にピアノ弾き語りで収録されていたもののバンド録音版だ。実は書かれた当初からいつかバンドでレコーディングすることをイメージしていたと言う。「酔いどれ賛歌」はそれらよりも前の曲で(書かれたのは2018年)、ライブにおける最大の盛り上がり曲として長く親しまれてきた。2020年の初めに配信のみでリリースされた『Gradation World Live』にライブバージョンが収録されたが、今回は満を持してのスタジオ録音となる。中村佳穂との共作・共演曲である「流れ星」はそれよりもさらに前に作られた曲。当時はふたりだけの演奏だったが、今回バンド録音するにあたってこれだけはアレンジを大きく変更し、再構築。モダンでラジオ映えもしそうなこの曲は、アルバム全体のなかでいいアクセントになっている。

アルバムの最後に収められた「こぼれ落ちてゆくもの」だけはバンド録音ではなく、リクオのピアノ&ヴォーカル、橋本歩のチェロだけで奏でられた曲。完成したのは昨年末であり、「このアルバムのテーマのひとつを象徴するような曲になったと感じたので」最後にレコーディングしてそこに配置したと言う。

過去作もそうだったとはいえ、『リアル』はリクオ作品のなかでもとりわけ楽曲のバリエーションに富んだアルバムだ。リクオはこの自作を的確にこう捉えている。「時代性と普遍性、官能性とヒューマニズム、洗練と粗野、真面目と不真面目、ローカルとアーバン。そうしたものが共存した、多面的で、感じ取る情報量の多い作品だと自負しています」 故に、聴くたびに発見のあるアルバムであり、長くつきあえばつきあうだけハッとしたり共感したりする箇所の増えるアルバムになることだろう。ライブを含め、聴かれた回数だけ楽曲が育ち、僕たちのものの捉え方や考え方もまた育っていく、そんな理想的な相互作用もきっと生まれるに違いない。

(内本順一)

〜 リクオ『リアル』発売記念スペシャル・ツアー 〜

【出演】リクオ with HOBO HOUSE BAND(ベース:寺岡信芳/コーラス:真城めぐみ/ギター:高木克/ドラム:小宮山純平/ペダルスティール:宮下広輔)
前売り¥5500 当日¥6000

●6/26(水)名古屋・TOKUZO(得三) tel 052-733-3709
開場18:00 開演19:00
チケットぴあ:Pコード 267-641
ローソンチケット:Lコード 41540
イープラス:https://eplus.jp
■問い合わせ:ジェイルハウス052-936-6041 www.jailhouse.jp

●6/27(木)大阪市・JANUS tel 06-6214-7255
開場18:00 開演19:00
チケットぴあ:Pコード 267-437
ローソンチケット:Lコード 52402
イープラス: https://eplus.jp
会場発売:Music Club JANUS
■主催:GREENS
■後援:FM OCOLO
■問い合わせ:GREENS 06-6882-1224 (11:00~19:00)
https://www.greens-corp.co.jp/
JANUS 06-6214-7255

●6/30(日)東京荻窪・The Top Beat Club(トップビートクラブ) TEL:03-6913-5433
開場17:30 開演18:00
イープラス: https://eplus.jp/sf/detail/4073370001-P0030001
 PEATIX: https://peatix.com/event/3887896
◾️問い合わせ(トップビートクラブ)
https://topbeatclub.com/contact/
HP:https://topbeatclub.com

★リクオ本人による曲解説

1、リアル コロナ禍を経ての混沌とした状況の中で生まれたナンバー。
単純な物語にとらわれることなく、多面的、重層的に物事を捉える知性と勇気が問われる時代だと感じてます。 自分の新たな代表曲の一つになるだろうと思ってます。

2、Wadachi 今回のレコーディングは、ライブ活動を共にしてきたHOBO HOUSE BANDのメンバーが全面参加していて、12曲収録中、11曲のアレンジが彼らとの共同作業です。特にこの曲は、このバンドでなければ成り立たないアレンジに仕上がったと思っています。
「アジャストしながら抗い続け」「この場所が最高」というフレーズは自分のスタンスそのものです。

3、ハグ & キス コロナ禍に生まれたラブソングです。
不安や制約の中で、今この瞬間を生きる意志と希望を示した曲だと思います。

4、友達でなくても ’18年に書いた曲が、パンデミックを経てより大きな意味を持つようになった気がしています。
'21年に発表したピアノ弾き語りアルバム『リクオ&ピアノ2』に収録した曲を、新たにバンド・アンサンブルで録音し直すことに意義を感じました。

5、君と僕とセカイの間 個人と「セカイ」の間に築かれるべき関係性が失われてゆくことへの危機感が、曲を作る動機の一つになりました。
フェイス・トゥ・フェイスのめんどくさい関係性を築くことができなければ、人は他者の存在を受け入れる寛容や柔軟性を失ってしまうと思います。

6、酔いどれ賛歌 ロックンロールには、人間の業や愚かさを肯定する側面があると思います。
自分も、ダメっぷり全開の無駄な時間の中に豊かさや愛おしさを見出している一人です。

7、流れ星 アルバム収録曲中、唯一の共作曲です。
共作者でコーラスでも参加してくれている中村佳穂さんとは、彼女がまだ京都の大学生だった’15年頃に知り合いました。
彼女の才能に感激して、こちらから話を持ちかけ、'16年に共作した曲を、今回やっと収録することができました。

8、アンサンブル 大袈裟に聞こえるかもしれませんが、演奏活動、ライブ活動を通じて身につけてきた哲学や理想が反映された曲です。
'20年以降、「利他」について考えさせられる機会が多くなったのですが、こちらが一方的に与えるような関係には疑問を感じていました。
相手との関わりの中で起きる予想を超えた相互作用の中にこそ豊かな「利他」が存在するのではないか、というのが自分の今のところの一つの結論です。その結論は、音楽を通じたアンサンブルの積み重ねの中でもたらされました。

9、ミュージック・アワー パンデミックによって、本来保障されるべき自由や権利がやむなく制限されてしまった中で生まれた曲です。
コロナ禍は、そういった自由や権利が制限されることに自分達が慣れてしまうことへの不安も感じていました。
だから、制限がある中で、さまざまな工夫を凝らして音楽活動を続け、コミュニケーションの場を保ち、遊び心を忘れず自由な空気を絶やさないよう心がけてきたつもりです。こういった体験を忘れずにいたいです。

10、僕らのライブハウス ここで歌われる「ライブハウス」とは、飲食ありきで演奏できる場を指しています。そういう場であればバーやカフェも含まれます。
自分にとっての「ライブハウス」は、卒業する場所ではなく、ずっと関わり続けたい最高の演奏場所であり社交場場です。

11、君を想うとき パンデミックが広がり始めた最初に作った曲です。
当時はバンドアンサンブルで演奏することが許されず、バラード調の弾き語りで演奏していました。
'21年に発表したピアノ弾き語りアルバム『リクオ&ピアノ 2』に続く再録ですが、今回はバンドアンサンブルで、音を交わし合う喜びをしっかりとおさめることができたと思います。

12、こぼれ落ちてゆくもの 収録曲中の最新のナンバーで、レコーディングの最後に収録しました。
この曲のみ、あえてバンド編成ではなくピアノとチェロというシンプルな楽器編成で録音しました。
歌い出しの歌詞は小坂忠さんの「機関車」へのオマージュですが、この歌では、「乗り遅れまい」とするのではなく、自分の意思で「乗り遅れてみる」ことを選びました。